ナイアシンによる改善例、注意点と考察
300人以上にナイアシン(ニコチン酸)を試してもらい得られた知見
はじめに
こんにちは、薬剤師の藤井努と申します。
私は薬科大学の大学院を出た後に製薬会社の研究所に入りました。製薬会社を退職した後に調剤薬局に勤務し、後に自分の調剤薬局を持ちました。「薬で病気を治す」ということに取り組むことがとても好きでした。その頃の私にとってビタミンなどのサプリメントは「効果があるのか疑わしい」「インチキ臭い」といった印象のものでした。
調剤薬局を営むようになってしばらく経った頃、小学3年生の息子の体調不良を知りました(2012年の春)。一緒にお風呂に入ってその日学校であったことを聞いていると、息子が「今日も目の前が暗くなってドッジボールで当てられちゃった」と言いました。「目の前が暗くなるって前からあるの?」と聞くとどうやら半年ほど前からあり、その頻度が段々増えてきているとのことでした。「めまいか貧血かなにかかな?」と思いましたが、しばらく様子をみてみることにしました。
しばらく様子をみていると、めまいの様な症状はどんどん増えていきました。それに加えて頭痛もでてきました。心配になった私は近所の小児科クリニックに息子を連れて行きました。そこの先生も心配してくれていろいろな検査をしてくれましたが、結果はまったく異常なし。「こんなにはっきりとした症状があるのに異常なしなのか・・」。
それからは、息子の症状について毎晩ネットで調べました。調べているとどうやら「慢性疲労症候群」に症状が似ていると感じました。
「慢性疲労症候群」とは、身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない状況で、日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く状態。症状としては、微熱、悪寒、咽頭痛、リンパ節の腫張、原因不明の筋力低下、 筋肉痛ないし不快感、軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感、頭痛、めまい等。
息子の場合は疲労感はありませんでしたが、検査で異常がないのにめまいと頭痛が毎日ありました。
慢性疲労症候群の治療法を調べてみると「ステロイド投与」「漢方療法」「ビタミン摂取」とありました。私は「子供にステロイドは嫌だな。漢方もどうだろ?ビタミンは効果あるわけないよな」と考えました。そうこうしているうちにも息子の症状はどんどん悪くなっていきました。
ある日私の薬局に薬局向けの雑誌が届きました。その雑誌に「前立腺がんへのビタミンCの効果」という記事がありました。私は「ん?ビタミン?効くのか?」と思い記事を読みました。記事に載っていた効果を検証するグラフを見てみると確かに効果がありそうでした。
私はすぐに慢性疲労症候群に使うビタミンの種類と摂取量を調べました。調べてみると必要なビタミンは主にビタミンCとビタミンB群でした。ビタミンCは市販のもので十分でしたが、ビタミンB群のサプリメントは市販で簡単に手に入る商品では含有量が少なすぎました。そこでとりあえずビタミンCをネットで注文しました。
ビタミンCのサプリメントが届き、早速その日の夜にビタミンCを息子に飲ませてみました。次の日の朝もビタミンCを飲ませてから学校に行かせました。
その日の夜にめまいと頭痛のことを息子に聞くと「今日は1回もなかったよ!」と言いました。半年以上毎日、最近では1日に5~6回めまいと頭痛があったのに、「これはたまたまだよな、こんなにすぐに効くわけないし」と思いましたが、その日を境にめまいと頭痛の症状はまったく出なくなりました。「これは絶対に効いた、しかもすぐに」と私は感じました。
そのことがあってからビタミンの効果について取りつかれたように調べました。海外のサイトを調べているうちにナイアシン(ニコチン酸)というビタミンがあることを知りました。どうやら日本では手に入らないようなので、個人輸入で海外から取り寄せて試してみることにしました。また同時にナイアシンに関する洋書も取り寄せました。
あらかじめ調べていた通りナイアシンを飲むとナイアシンフラッシュがでました(後述)。そしてナイアシンを飲んだ後の体感はとてもすばらしいものでした。
それから私は知り合いなどに事前にフラッシュなどについて詳細に説明した後にナイアシンをすすめました。そしてその効果を目の当たりにしてとても驚きました。そしてナイアシンの指導をした人たちは紹介なども多くいて、恐らく300人以上となりました。その方たちからいただいた感想は改善例や注意事項の蓄積となり今も増え続けています。
またナイアシンによる不調や病気の改善から、それら不調や病気の本当の原因を解明できるのではないかと考えています。
この書籍では、今まで私が実際に得てきたナイアシンによる不調や病気の改善例と、それらから予測した病気の原因の仮説などをお伝えします。
ナイアシンは本当にたくさんの不調や病気がある時には驚くほど短期間で治ります。私は今もナイアシンによる健康法をたくさんの人に指導していますが、ここで一旦今までの情報をみなさまにお伝えしようと今回この書籍をだしました。
本当の健康法を探している人たちにナイアシンによる健康法を実践し身に着けてもらい、ぜひこの書籍の修正と上書きをお願いしたいと思います。そうすればさらに精度の高いナイアシンによる健康法が確立されることでしょう。
ナイアシンとは
(一般的なナイアシンの説明です)
ナイアシンはニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、水溶性のビタミンです。かつてはビタミンB3と呼ばれていました。
ナイアシンは、炭水化物や脂肪、たんぱく質など体内の様々な物質の代謝と、細胞の正常な機能において必要不可欠なビタミンです。
中性、酸性、アルカリ性、酸素、光、熱に対して安定で、通常は食品の保存や調理によって含量が低下することはほとんどありません。しかし、ナイアシンは水、特に熱水には極めて溶けやすいため、煮物料理をすると煮汁中に70%も移行してしまうと言われています。また、肉類をから揚げにすると、20~40%程度のニコチン酸アミドが油中に移行し、失われると言われています。
ナイアシンを多く含む食品としては、日本食品標準成分表2020年版 (八訂)では、植物性食品では玄米や落花生などがあり、動物性食品としてはたらこや鶏むね肉、かつおなどがあります。食品により分解率や吸収率が異なりますが、日本で一般的に食べられている食事中のナイアシンの利用効率は約60%と推定されています。
ナイアシンは、生鮮食品中において、主にピリジンヌクレオチド(NAD、NADP)の形で存在しますが、食品を調理・加工する際に分解され、動物性食品ではニコチン酸アミド、植物性食品ではニコチン酸になると言われています。
ナイアシンはヒトにおいてニコチン酸やニコチン酸アミドではなく、MNA (N1-メチルニコチンアミド) や2-Py (N1-メチル-2-ピリドン-5-カルボキサミド) 、4-Py (N1-メチル-4-ピリドン-3-カルボキサミド) に代謝されて尿中に排泄されると考えられています。
ナイアシンの働き
人が体内でエネルギーを作る方法は、糖質、脂肪、たんぱく質を代謝(分解)することによります。糖質、脂肪、たんぱく質を代謝してエネルギーを作る経路は、解糖系とそれに続くTCAサイクル(クエン酸サイクル、クレブス回路)と呼ばれています。
細胞内の細胞質で解糖系の反応が起こり、生成したアセチルCoAがミトコンドリア内でTCAサイクルを形成します。
糖質、脂肪、たんぱく質を代謝する経路は最初は別々ですが、最終的に解糖系とTCAサイクルに合流します。
ナイアシンは解糖系とTCAサイクルの両方に働きかけエネルギーの産生を活性化すると考えられています。
ナイアシンとナイアシンアミドの違い
ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称としてナイアシンと呼ばれることがありますが、この本ではニコチン酸をナイアシン、ニコチン酸アミドをナイアシンアミドと呼ぶこととします。
この二つの化合物は構造式が違います。ナイアシンはピリジン環の3位にカルボキシル基を持ち、ナイアシンアミドはピリジン環の3位にアミド基を持ちます。これにより物性や作用が違っています。
ナイアシンの粉をなめると酸っぱい味がし、ナイアシンアミドは苦い味がします。ナイアシンはナイアシンアミドに比べやや水に溶けにくいです。空腹時に飲むとナイアシンは特徴的なフラッシュ(後述)を起こすことがありますが、ナイアシンアミドではフラッシュは起こりません。
今まで見てきた印象から、作用についてフラッシュ以外にもこの二つの化合物には大きな違いがあります。
ナイアシン、ナイアシンアミドは一般的に糖質、脂肪、たんぱく質を代謝すると考えられていますが、実際にたくさんの人たちに飲んでもらった結果を見てみると、ナイアシンは糖質、脂肪、たんぱく質を代謝している感じがありますが、ナイアシンアミドは糖質の代謝だけをしているという感じがします。
この後の章で実際に改善した不調や病気などについて考察していますが、身体に残存した糖質などが原因と考えられる不調や病気にはナイアシンとナイアシンアミドの両方が効果を持ちます。
他方、身体に残存した脂肪やたんぱく質が原因と考えられる不調や病気ではナイアシンのみが効果を持っている印象です。
後述しますが、例えば生理痛やPMSでは身体に残存した糖質や糖化物がホルモンのバランスを乱すことが原因だと考えています。このように糖質や糖化物が原因だと考えられる症状にはナイアシン、ナイアシンアミドの両方で効果があります。うつなどにも両方が効果を期待できます。
アレルギーは身体に残存した脂肪やたんぱく質にアレルゲンが取り込まれることが原因と考えますが(後述)、そのような症状にはナイアシンのみが効果を持ちます。
また、両方の化合物は糖質を代謝しますが、その作用量は違います。感覚として、ナイアシン100㎎=ナイアシンアミド500~1,000㎎といった印象を持っています。
このように総称として同じ化合物に括られる二つの化合物には実際には大きな違いがあります。
日本のサプリメントなどに含まれるナイアシンはほとんどがニコチン酸アミドです。
この本では主にナイアシン(ニコチン酸)についてお伝えします。
ナイアシンフラッシュについて
ナイアシン(ニコチン酸)を飲んだ時に特徴的なフラッシュ(紅潮、かゆみ)が起こることがあります。サプリメントの剤型にもよりますが、このフラッシュは飲んでから5~90分ほどで起こり、ナイアシンの量にもよりますが30~90分ほどで治まります。この反応は健康を害するものではありません。
このフラッシュは食事の後ににナイアシンを飲むと起こりにくく、空腹時にナイアシンを飲むと起こりやすいです。
フラッシュを起こすナイアシンの摂取量は人によって違います。25~300㎎でフラッシュが起こることが多いです。
また例えば、空腹時にナイアシン100㎎を初めて飲んでフラッシュが起こらなくても続けて飲んでいると4日目に突然フラッシュがでることもあります。これは恐らく、最初の数日はナイアシンが血中に届くまでの間の経路で消費されていたのが、血中までの吸収経路にあったナイアシンを消費するものがなくなったためにようやく血中までナイアシンが到達したと考えられます。
フラッシュの紅潮が過去の日焼けの跡を浮かび上がらせることもあります。水着の跡やスキーのゴーグルの跡が浮かび上がった人もいます。学生時代にテニス部っだった女性は半そでの跡が浮かび上がりました。
フラッシュの間にお酒に酔ったような状態になる人もいます。またある人は昔の水銀アレルギーとそっくりな湿疹がでました。別の女性は、以前あるお店に行った時にそのお店の芳香剤で気分が悪くなりましたが、フラッシュの時にその時と同じ気分の悪さを感じました。
カナダのナイアシンの権威である故エイブラム・ホッファー博士は、このフラッシュ反応はヒスタミン放出の結果起こると著書に書きました。
私は、ヒスタミン放出は結果的に起こっていると考えています。つまり、ナイアシンを飲むことで糖質、脂肪、たんぱく質の代謝が促進され、それら糖質、脂肪、たんぱく質に取り込まれてたアレルゲンになりうるものが血中に出てきて、それにヒスタミンのようなものが反応しいているということです。
ナイアシンフラッシュが過去の日焼けの跡を浮かび上がらせるのは、日焼けによってできた変性たんぱく質かなにかが代謝され反応しているのはないかと考えています。
先ほどのナイアシンフラッシュで昔の水銀アレルギーとそっくりな湿疹がでたのも、身体の中の脂肪やたんぱく質の中に残存していた水銀が、脂肪やたんぱく質が代謝されることによって血中に出てきて、水銀アレルギーが再現されたと考えています。
ナイアシン摂取を続けているとフラッシュが弱くなってくることがありますが、これは身体に残存していたなにかが身体の外へある程度排出されるからだと思います。久しぶりりにナイアシンを飲むと再び強いフラシュがでるのは、ナイアシンを飲んでいなかった期間にふたたび反応すべきなにかが蓄積されたためと考えます。
実は薬も身体の中に残存します。このことは後の章でお伝えします。
これらの事から、ナイアシンを初めて飲む場合は必ず少量から始めるのがいいと思います。
ナイアシンのサプリメントについて
日本では、ナイアシンは海外からサプリメントとして入手することができます。
サプリメントにはいろいろな剤型があります。錠剤、カプセルが代表的です。
カプセルタイプのナイアシンのサプリメントを飲むと、30~60分位でフラッシュが起こることが多いようです。カプセルのナイアシンを飲むと、飲んだカプセルが体の中で溶けてからナイアシンの吸収が始まります。
錠剤タイプのナイアシンのサプリメントではフラッシュが起こる時間は5~60分と様々です。これは錠剤の溶ける速度にに依存しています。
速く溶ける錠剤タイプのナイアシンのサプリメントですと飲んでから5~20分程度でフラッシュがでます。速く溶けると吸収も速くなるので、ナイアシンの血中への移行も速く血中濃度の立ち上がりも速くなるためだと考えます。
逆に溶けるのが遅い錠剤のタイプですと、フラッシュがでるのに60分以上かかることがあります。
たくさんの人に飲んでもらった感じとしては、溶けるのが速いナイアシンのサプリメントのほうが同じナイアシンの含有量でも効果が高い傾向にあると感じます。言い換えればフラッシュが出るのが速いほうがよく効くということです。
また、溶けるのが遅いナイアシンのサプリメントでは大量摂取の際に肝障害の恐れがあるとの意見もあります。
これらの理由からナイアシンを飲む場合は溶けるのが速い錠剤タイプか、カプセルタイプでしたらカプセルは外して中身の粉末を飲むことをおすすめしています。
私がナイアシンの指導をする時には同時にマルチビタミン&ミネラルやビタミンCと併用することをおすすめしています。また尿酸値が高めの方がナイアシンを飲むと尿酸値がさらに上がり痛風発作を起こすことがあります。尿酸値が高めの方にナイアシンをすすめるときにはクエン酸を併用するように指導しています(後述)。
ナイアシンによる不調や病気の改善例と病気の原因の考察
ナイアシンをどの程度飲んだらいいのかはそれほど難しくありません。それは「適度なフラッシュがでる摂取量」「強めのフラッシュがでる摂取量」です。
最初は適度なフラッシュがでる摂取量で続けて不調や病気の改善度合いを観察します。その量で治ってしまえばそれで大丈夫です。改善具合が不十分なら強めのフラッシュがでる摂取量にしていきます。フラッシュが不快なら食後にナイアシンを飲みます。
アレルギー(鼻炎、喘息、花粉症)
鼻炎、喘息、花粉症などのアレルギーはナイアシンを飲むと次の日~数日の短期間のうちに症状が軽くなるということが多くあります。
ナイアシン 50~500㎎、1日1~3回
できればビタミンCやマルチビタミン&ミネラルを併用
改善例1)10歳男子小学生
お母さんからご相談いただきました。
いつも鼻がぐしゅぐしゅいていて、寝ている時にも鼻づまりがある状態でした。
フラッシュが心配ということで、夕食後にナイアシン25㎎を飲ませてみることにしました。
次の日から症状が軽くなり、飲み忘れるとまた症状がでてくるので本人から「サプリ飲む」と言ってくるようになったということです。
改善例2)20代女性
春になると花粉症に悩んでいました。
症状は鼻水、目の痒み、頭がボーっとするなど。毎年抗アレルギーの飲み薬、点眼薬、点鼻薬を使用していました。
花粉の季節が始まり症状がでてきたので相談に来られました。
ナイアシンの飲み始めは連絡をもらいながら摂取量を決めました。
ナイアシン 100㎎ 1日2回 朝夕食前で適度なフラッシュを出す
ビタミンC 500㎎ 1日2回 併用
飲み始めから花粉症の症状が軽くなりました。ナイアシンは200㎎まで増やしていきました。
完全に症状がなくなった訳ではありませんが、薬は必要ない状態になりました。
これらの他にもアレルギーの改善例はたくさんあります。
私は製薬会社の研究員時代、新規抗アレルギー薬を開発する創薬グループに所属していました。
この創薬グループは動物チーム(スクリーニングや動物実験をするチーム)と有機合成チーム(候補の新規化合物を合成するチーム)から成りました。
私は有機合成チームに所属していましたが、動物チームのやっていることにもとても興味があったので、動物チームの先輩たちによく質問していました。
「アレルギーモデルってどうやって作るんですか?」
アレルギーモデルとは、アレルギー状態のマウスやラットのことを指します。これらアレルギーのマウスやラットを使って新規化合物を投与して効果の有無を調べます。
動物チームの先輩たちは丁寧に教えてくれました。
「アレルギーモデルを作るには、マウスやラットをアレルゲン(抗原)に暴露する(アレルゲンチャレンジ)んだよ」
要は、例えばマウスやラットに大量の花粉を吸わせるような感じです。そうすると花粉症のマウスやラットができるということです。
「一度大量のアレルゲンに暴露されると、免疫系がそれに合わせて準備するから、次のアレルゲンとの接触で過剰反応(アレルギー)が起こるんだよ。」
「アレルギーモデルは100%の確率でできますか?」
「ほぼ100%の確率でできるよ。」
実はこの時の先輩が説明してくれたアレルギーモデルができる機序がどうも腑に落ちませんでした。なにか生体反応の説明として美しくないというか、自分でもなぜかは分かりませんでした。アレルギーは体質によるという意見とも矛盾しているように感じました。
さて、ではなぜナイアシンを飲むとアレルギーが治るのでしょうか?ヒスタミンを枯渇させてアレルギー反応が出ないようにしているのでしょうか?ヒスタミンを枯渇させてアレルギー反応が出ないという状態は、免疫システムの一部が無力化されているということです。そんな危険な状態になっているのでしょうか?
それとも、ナイアシンはアレルゲンとの接触に備えている免疫システムを丁寧に説得しているのでしょうか?「そんなに反応しなくていいんだよ」と。
ナイアシンは糖質、脂肪、たんぱく質を代謝します。アレルギーが起こる原因とナイアシンで治る理由をこう考えることはできないでしょうか?
「アレルゲンチャレンジによってアレルゲン(抗原)またはアレルゲンの一部が体内や粘膜表面に蓄積する。二度目のアレルゲンへの暴露によって体内のアレルゲンの蓄積量が抗体が反応する閾値を超える。そのためアレルギー反応が出る。
ナイアシンを飲むことでアレルゲンが取り込まれている脂肪やたんぱく質が体内や粘膜表面で代謝され、それに伴ってアレルゲンも身体の外へ排出される。体内のアレルゲンの量が減ったため今までと同じようにアレルゲンに晒されていてもアレルギー反応が出にくくなる(抗体が反応する閾値を超えにくくなる)。
アレルギーモデルを作る場合は、大量のアレルゲンを短時間で浴びせるためほぼ100%がアレルギーになる(閾値を超えるのに十分な蓄積量になる)。アレルギーは体質によるというのは、アレルゲンを排出できるかできないかの違いである。
つまり、アレルギーの原因は免疫の過剰反応ではなく、アレルゲンの過剰蓄積である。アレルギーは蓄積しているアレルゲンを出せば治る。」
この考えが正しいかは分かりませんが、辻褄は合っているように感じますがいかがでしょうか?
ファスティング(断食)でアレルギーの症状が軽減するのもアレルゲンが排出されるからと考えられないでしょうか?。
初めてナイアシンを飲んでフラッシュが出た時に過去の水銀アレルギーや芳香剤で気持ち悪くなった時と同じ症状が出たのも、身体に残存していた水銀や芳香剤の成分が出てきたからではないでしょうか?
つまりナイアシンは病気の根本的な原因に働きかけていると考えています。
不眠症、うつ、気分の落ち込み、イライラ
ナイアシンを飲むと、「寝つきが良くなった」「眠りが深くなった」「朝の目覚めが良くなった」「うつっぽいのが治った」「イライラしなくなって落ち着いた」など感想をたくさんいただきます。
恐らくこれは、ナイアシンによって身体に残存している糖質や糖化物が代謝されることにより、それまで糖質に反応していたホルモンが安定したためだと考えています。
糖質が原因の症状ですのでナイアシンアミドでも一定の効果が期待できます。
「遠足の日の朝の目覚め」「すぐに行動できるようになった」「小さなことでくよくよしなくなった」「世界は私のためにあると思えるようになった」などの感想もいただきます。ホルモンが安定したため気持ちが前向きになるのでしょう。
睡眠導入剤やメンタルの薬を飲んでいる方にも指導もしましたが、ナイアシン、ナイアシンアミドを使った減薬、断薬は上手くいくことが多くあります。
もちろんなにかの心配事がこれらの症状の直接的な原因の場合は、糖質が原因の部分だけが改善が期待できます。直接的な原因が特定できるなら、それに対しても手当てが必要です。
メンタル系の不調では、栄養素の補給と直接的な原因への対処が必要なことがあります。
ナイアシン 50~500㎎ 1日1~3回
または
ナイアシンアミド 250~2,000㎎ 1日1~3回
不眠やメンタルの不調や病気は身体に残存した糖質によるホルモンの乱れが原因の一部であると考えます。
生理痛・PMS(生理前症候群)
生理痛やPMS(生理前症候群)はナイアシンやナイアシンアミドで改善しやすい症状の一つです
生理痛やPMSも糖質によるホルモンの乱れが原因と考えます。
ナイアシンやナイアシンアミドを飲むと生理痛やPMSが軽減またはなくなることが多くあります。
「生理痛がほとんどなくなってロキソニンを飲まなくなった」「PMSがなくなって生理がくるのが分からなくなった」などの感想をいただきます。
生理の時だけでなく、普段からナイアシンやナイアシンアミドを摂取して身体の中のホルモンを整えておくのが大切ですが、生理の2日前からナイアシンを飲み始めたらすぐに効果がでた例もあります。またナイアシンを飲み始めてから1回目の生理ではあまり改善は感じなかったものの2回目、3回目と徐々に効果がでることもあります。
ナイアシン 50~500㎎ 1日1~3回
または
ナイアシンアミド 250~2,000㎎ 1日1~3回
改善例1)19歳女性
お母さんから相談を受けました。
生理になると生理痛がひどく、トイレから出ていけないほどでロキソニンを飲んでもあまり良くならないとのことでした。そこでフラッシュのことなどをお母さんに説明して、適度なフラッシュがでる摂取量を探すために飲み初めに連絡を取り合い摂取量を探しました。
ナイアシン 1回100㎎(速溶性) 1日2回
ビタミンC 1回500㎎、1日2回
生理の1週間前から始めましたが、生理が来てみると生理痛はほとんどなくなったとのことでした。「トイレに行くのが面倒くさい」と言っていたとのことでした。
改善例2)20代女性
生理の度に生理痛とイライラに悩んでいました。ナイアシンのことを説明するとフラッシュが怖いとのことでナイアシンアミドをすすめました。
ナイアシンアミド 1回500㎎ 1日3回
生理の2週間前から始めましたが、すぐに効果が表れ生理痛はかなり軽くなり、なによりイライラしなくなったことが嬉しいとのことでした。
高血圧
ナイアシンで高血圧が改善するのは本当にたくさん見てきました。
高血圧の原因は大きく二つあると考えます。一つは血管内壁に脂肪、たんぱく質由来の老廃物が沈着すること。もう一つはストレスなどの精神的要因です。
ナイアシンによって改善が期待できるのは前者の老廃物が原因の高血圧です。脂肪、たんぱく質由来の老廃物が原因の高血圧にはナイアシンアミドでは効果は期待できません。
脂肪、たんぱく質由来の老廃物が血管内壁に沈着すると内部抵抗が上がり、そのため血圧が上がります。水を出しているホースの口を狭めると水圧が上がるのと同じ理由です。
血管の内部抵抗が上がっている状態で薬などで血圧だけを下げてしまうと、末端まで血液が届きにくくなってしまいます。また、老廃物が沈着している状態で血圧だけを下げてしまうとますます老廃物が沈着しやすくなってしまいます。
ナイアシンはこの沈着している老廃物を直接的に代謝してくれると考えます。
ナイアシンの摂取量は強めのフラッシュがでる摂取量をおすすめします(飲み初めは少量から)。高血圧では少し多めのナイアシン摂取が必要だと感じています。多めにナイアシンを飲む時にはマルチビタミン&ミネラルを併用するのがおすすめです。
ナイアシン 200~1,000㎎ 1日1~3回
できればマルチビタミン&ミネラルも併用
改善例)50代女性
会社の健康診断で血圧が高かったため内科を受診するように言われたとのこと。できれば薬は飲みたくないのでナイアシンを試してみたいとのことでした。徐々にナイアシンの量を増やしていき、強めのフラッシュが出る量、ナイアシン1回250㎎を1日3回空腹時で飲んでもらいました。
最初の1週間は血圧に変化はありませんでしたが、1週間を過ぎたあたりから血圧が下がってきました。さらに1週間後にはほぼ正常値となりました。
多くの場合、高かった血圧がナイアシンで正常値になるのに約2週間ほどかかります。
便秘
ナイアシンを飲むと便通が良くなったとの感想も多くいただきます。「子供の頃のようなウンチになった」「バナナウンチがでた」などはナイアシンを飲んだ方に共通する感想です。
これは、ナイアシンが身体の中の糖質、脂肪、たんぱく質からなる老廃物を代謝し排出した結果だと考えます。便通が良い状態というのは老廃物の排出がうまくいっていることの表れだと言えます。
その他 腰痛、疲労、めまい、肥満、原因不明の発熱
ナイアシンを飲んで腰痛が軽減した方もいます。これは痛みの部分の血行がよくなり痛みや炎症が軽減したものと考えます。
疲労が軽減する方も多くいます。身体の代謝が上がって疲労物質である乳酸や老廃物が排出されるためと考えます。
めまいが軽減する人もいます。身体の代謝が上がり、ホルモンが安定することによると考えます。
体重が減る人もいます。老廃物が排出され体重が減るものと考えます。
原因不明の発熱が治った方もいます。なにかの発熱を起こしていた物質が排出されて効果がでたのかもしれません。
【重要】ナイアシンについて気を付けること
ナイアシンを飲むといろいろな不調や病気が短期間で治ることが多くあります。しかしながら、気を付けなければいけない点もあります。ここでは私が指導してきて感じた「ナイアシンを飲む上で気を付けること四つ」をお伝えします。
フラッシュによるパニック
初めてナイアシンを飲みフラッシュが起こるととてもビックリすることでしょう。私も初めてナイアシンを飲んでフラッシュを体感した時には「おお!これがフラッシュか!」とビックリしました。ほとんどの場合はフラッシュは30~60分ほどで引いてきます。
このフラッシュの感想は人によって違います。「サプリメントでこんな反応が出るなんてすごい」「こんな反応がでるなんてすごい効きそうな気がする」「ピリピリした感じが好き」「今まで飲んだサプリメントの中で一番好き」と好意的な感想がある一方、「こんな反応が出るなんて怖い」「昔の蕁麻疹を思い出して怖かった」「こんなサプリメントは身体に悪いに決まっている」と否定的な感想もあります。
このフラッシュ自体には健康を損なう恐れはないのですが、今まで経験したことのない反応にみなさんビックリします。まれにですが、人によってはパニック状態になる人もいます。
ナイアシンについて気を付けることの一つ目は、「フラッシュに対してパニックになる人もいる」。
ですので、ナイアシンの体感がいいからやナイアシンフラッシュが楽しいからと無理やり知り合いに飲ませたりするのは止めましょう。きちんと説明して興味を持っているようなら、あなたの体感を伝え、自己責任で飲んでもらいましょう。
強い倦怠感
フラッシュを体験して、フラッシュが引いた後に心地よい倦怠感を感じることはありませんか?温泉にゆっくりつかって出てきた後のような倦怠感です。この程度でしたらなんの問題もありません。
ただ人によってはフラッシュの後にとても強い倦怠感をが表れることがあります。これは恐らくナイアシンによって糖質、脂肪、たんぱく質が代謝された結果、それらに残存していたなにかが血中に放出されてでてきたためだと考えています。前述した水銀アレルギーや芳香剤の場合と同じ理由です。
例1)70代女性
夕食前に初めてナイアシンを100㎎を飲みました。フラッシュの後に猛烈なだるさを感じソファーに横たわり4時間は動くことができませんでした。その後は回復しました。
例2)40代女性
フラッシュが怖かったので食後にナイアシンを25㎎飲んでいました。ある日うっかりして食前にナイアシンを飲んだところフラッシュが起きて、その後の5時間ほどは立ち会がることができないほどのだるさとなりました。その後は回復しました。
例3)40代男性
ナイアシンを初めて100㎎を飲んでみましたがフラッシュが起こらなかったのでその後さらに300㎎飲みました。それでもなにも起こらなかったので家に帰ってからさらに300㎎飲みました。するとその日の夜にものすごいだるさが起こり、ほとんど動くことができなくなってしまいました。
この男性は2日ほど会社を休んでからようやく回復しました。
このようにまれにではありますが、ナイアシンを飲んだ後に非常に強い倦怠感が表れることがあります。ですのでナイアシンは特に飲み始めに注意が必要です。
ナイアシンについて気を付けることの二つ目は、「強い倦怠感が表れることがある」。
尿酸値の上昇とその対策
普段から尿酸値が高めの方がナイアシンを飲むと、さらに尿酸値が上がって場合によっては痛風発作を起こすことがあります。
私の知り合いもナイアシンを飲んで2名が痛風発作を起こしました。いろいろ調べるとどうやらクエン酸が効きそうだということが分かりました。痛風治療薬のウラリットはクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムの合剤であることから、痛風発作を起こした知り合いにクエン酸を飲んでもらいました。ナイアシンと一緒にクエン酸を1日3,000㎎ほど飲んでもらうと痛風発作もおさまり尿酸値もほぼ正常値となりました。
ナイアシンは解糖系とTCAサイクル(クエン酸サイクル)を活性化します。解糖系は糖質を代謝してエネルギーを作ります。TCAサイクルは脂肪、たんぱく質を代謝してエネルギーを作ります。
恐らく、普段から尿酸値が高めの人はTCAサイクルが滞っているのでないかと考えます。TCAサイクルが滞っているためにたんぱく質を最後まで代謝できずに尿酸ができてしまうのではないでしょうか?その状態でナイアシンを飲むと解糖系が活性化するのはいいのですが、それに続くTCAサイクルでさらにたんぱく質代謝が滞ってしまい尿酸が今までよりたくさんできてしまうということです。
そこでTCAサイクルを活性化するクエン酸を飲むとTCAサイクルがきれいに回り、たんぱく質もきれいに代謝され尿酸もできにくくなるということです。
エネルギー産生を解糖系に頼り過ぎている例としては、急に糖質制限(糖質、炭水化物を控えて脂肪やたんぱく質を増やす)すると尿酸値が上がったり体調を崩すことがあります。これもTCAサイクルが滞って尿酸値が上がったりエネルギーがうまく作れていない例といえます。このような場合は急激な糖質制限をするのではなく、徐々に糖質制限をする必要があると感じます。また、このような場合もクエン酸を飲めばTCAサイクルがきれいに回り、たんぱく質代謝がスムーズになりエネルギー産生も良好になると考えます。
このような理由から、普段から尿酸値が高めな方にナイアシンをすすめる時にはクエン酸も一緒に飲むようすすめています。すると普段高めの尿酸値も正常値になることが多くあります。解糖系とそれに続くTCAサイクルがきれいに回ってエネルギーを作っている状態です。
ナイアシンについて気を付けることの三つ目は、「ナイアシンは痛風発作を誘発することがある」。
体内に残存している薬の放出
「ナイアシンは身体に残存している糖質、脂肪、たんぱく質を代謝する。すると糖質、脂肪、たんぱく質に取り込まれていたものが放出される」と書きました。実は薬も取り込まれるものの一つです。
高血圧の薬を飲んでいる方にナイアシンの飲み方を指導した時のお話をします。
5名の方に指導しましたが、血圧の薬(血圧を下げる薬)を飲んでいる方がナイアシンを飲むと、必ずと言っていいほど血圧は次のように推移します。
例えば血圧の薬を飲んでいて最高血圧が130くらいだとします、薬が効いてまずまずよいコントロールが得られている状態です。ナイアシンを強めのフラッシュが出る量を飲み始めるのと同時に血圧の薬を飲むのをやめます。すると1日目には血圧は110位まで落ちます。同じ量のナイアシンを続けると2日目には100位になります。3日目には110位になります。4日目には130位になり、その後は徐々に落ちてきて約2週間で115~120位で落ち着きます。
血圧の推移 130→110→100→110→130→→→→115~120(2週間)
最初に指導した時、毎日血圧を報告してもらっていましたが、血圧がこのような推移をすることの理由が分かりませんでしたが、「ナイアシンを飲み始めて3日ほどの血圧の落ち込みはなんだろう?」「たまたまかな?断薬もできたしまあいいか」と思いました。
それからしばらくして、血圧の薬を飲んでいる方から血圧の薬の断薬を頼まれました。そこで同じようにナイアシンを飲んでもらったところ、前回とまったく同じ血圧の推移が見られました。高血圧の薬を飲んでいない方がナイアシンを飲んでもこのような血圧の動きはしません。
「これは偶然ではないな」「なぜだろう」、そこでふと思いつきました。
「血圧の薬は一部が体内の脂肪か何かに取り込まれて身体に残存しているのではないか?ナイアシンを飲むと脂肪が代謝されて取り込まれていた血圧の薬が血中に放出されて、それが血圧を下げているのではないか?」
その後3名の高血圧の薬の断薬をしましたが、やはり同じ血圧の推移を見ました。このころになるとあらかじめ相談者に「体内に残存した薬の放出で血圧は3日ほど下がってからその後戻るかもしれません。そこから徐々に下がるという感じになると思います。」と伝えておけるようになりました。
高血圧の薬の場合、体内に残存した薬の排出は3~4日で完了するように感じます。
このように薬も体内に残存すると考えられます。
生理痛の度に鎮痛剤を飲んでいる方は、ナイアシンを飲み始めると最初は強い眠気がでるかもしれません(実際に出ることがあります)。
メンタル系の薬を飲んでいる人も、ナイアシンを飲み始めると強い眠気が出ることが多くあります。
これは今飲んでいなくても、以前飲んでいた薬が体内に残存している場合もあります。
ナイアシンについて気を付けることの四つ目は、「体に残存している薬が血中に放出されることがある」。
この理由から私はナイアシンとワーファリン(血液をサラサラにする薬)、糖尿病の薬は禁忌(一緒に飲んではいけない)としています。
ワーファリンは体内のたんぱく結合率が90%以上で大部分がたんぱく質に取り込まれています。ナイアシンを飲んで、ワーファリンが取り込まれているたんぱく質が代謝され、結合しているワーファリンが一気に血中に放出されたらどうなるでしょうか?とんでもない出血傾向となる可能性が考えられます。このことはどこにも報告されていませんが、作用機序を考えるとその可能性は高いと考えています。
ナイアシンは糖質を代謝します。血中の糖質の代謝と体内に残存している糖質の代謝のどちらが優位なのかで血糖値への影響が変わってくると考えます。血中の糖質の代謝が優位なら血糖値が下がるでしょう。また体内に残存している糖化物などの代謝が優位なら、代謝された糖質が一旦血中に放出されるので一時的に血糖値は上がるかもしれません。さらに糖尿病の薬を飲んでいた場合、体内に残存してる糖尿病の薬が放出されることが考えられます。これらが同時に起こった場合、血糖値がどうなるか予測することは困難です。
さいごに
ナイアシン(ニコチン酸)はいろいろな不調や病気が短期間で治ることが多くあります。ナイアシンがいろいろな不調や病気に効果があるということは疑いのない事実です。
私は製薬会社の研究員時代には創薬グループの有機合成チームに所属していました。有機合成チームは目的化合物を作るために市販されている試薬から出発物質を選び合成スキームを考え目的化合物を作ろうとします。
私は息子の体調不良をきっかけにビタミンの効果を知りナイアシンに出会いました。ある時ナイアシン(ニコチン酸)の構造式をみているふと、「この化合物、合成で使ったことがあったな」と思い出しました。
研究員時代に構造活性相関を調べるための化合物合成をしていた時に、出発物質を一つは安息香酸(ベンゼン環にカルボキシル基を持つ)、もう一つをニコチン酸(ピリジン環の3位にカルボキシル基を持つ)にしていたのです。確か、安息香酸はスキーム通りに反応しましたが、ニコチン酸は反応しなかったと思います。
このことを思い出した時に私はこう感じました、「私は研究員時代に、いろいろな不調や病気を治せるナイアシン(ニコチン酸)に一生懸命化学修飾をして、結果的に効果を落として副作用が出るような化合物を作ろうとしていたんだ」と。
しかし、そのことに後悔はしていません。その時の学びが土台となり今のナイアシンへの理解に繋がっていると感じているからです。
ナイアシンだけでなく素晴らしい栄養素はまだまだたくさんあります。例えばMSM(メチルスルフォニルメタン)。MSMは関節の痛みや身体のこわばりなどにとても効果があることがあります、しかも短期間で。このMSMについても調べていますが、MSMの合成前駆体はDMSO(ジメチルスルフォキシド)。DMSOは一般的には有機溶剤として使われますが、このDMSOについても海外の書籍には興味深い生理活性が数多く報告されています。このDMSOも研究員時代に溶媒として使ったことがありました。「DMSOが凍る季節がきたな~(融点19℃)」なんて同僚と話したこともありました。
これからの世代にお願いしたいことがあります、それは先入観に囚われるなということ。時には常識、教科書に書いてあることも疑ってみることも大切です。
私は若い頃には社会システムへの不満がありました。今の社会システムが人々が自由になることを邪魔していると。今でもそう思っていますが、人の自由を一番奪っているものはその人が持っている先入観ではないかと思うようになりました。
自分の先入観に気づき自由な視点を持つことを恐れないでください。他の人と違う視点を持つことを恐れないでください。
自分の先入観に気づくには行動して失敗することしか方法はありません。失敗というとかっこ悪く聞こえるかもしれませんが、研究的な表現をすれば、失敗とはネガティブデータの収集です。「こうすると上手くいかない」というデータの蓄積です。かけがえのない貴重なデータです。行動すればポジティブデータとネガティブデータが集まります。それを見ていくと自分の先入観が間違っていたことに気づくでしょう。
行動こそが視野を広げ視点を変えます。
ナイアシンに限らず、私の探求はまだまだ続きますが、これからの世代にこの書籍の修正と上書きをお願して本書を終わりたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
FJラボ 藤井 努